今日のおおしお市民農園




2012年10月05日(金): アイヌ語地名の旅(瀬棚 - 虎杖浜編)です。
以下、画像を中心に解説を加えてゆきます。




上美谷の袋澗。
袋澗(ふくろま):大量に捕れた鰊を一時的に収めた、生け簀の様なもの。



「美谷:びや」の浜。(ピ・ヤ: pi-ya) 「石の・岸」の意。玉石がごろごろしている処



美谷の袋澗。(使われなくなって久しく、だいぶ壊れています。)



「島歌:しまうた」の浜。(シュマ・オタ: shuma-ota)「岩のある・砂浜」の意。
写真のアングル or ターゲットが悪いのか、上記「美谷」との差が判らない。



瀬棚の「歌棄:うたすつ」。(オタ・スッ: ota-sut) 「砂浜の・端」の意。
確かに、三本杉方面から続いていた砂浜が、尽きる地点です。
(永田地名解と松浦図に記載されています。)



歌棄から、三本杉方面を見る。
(以上、は瀬棚町です。)



長万部町「静狩:しずかり」。(シリ・トッカリ: shir-tukari) 「山の・手前」の意
延々と続いて来た、噴火湾の砂浜が、礼文華の山に阻まれます。

なお、写真を撮った場所は、静狩の「鳴き砂海岸」です。生憎く湿っていて、鳴いてくれませんでした。



上記地点から、噴火湾の砂浜。(漂流物が散乱し、鳴き砂も危うい気がします。))



豊浦町「礼文華:れぶんげ」。(レブン・ケ・プ: repun-ke-p) 「沖の(方へ)・削る・もの(断崖)」の意。



豊浦町・文学碑公園から。(文学碑は省略です。)



有珠・「善光寺」。名刹です。



有珠・「バチラー教会堂」。ジョン・バチラー、初期アイヌ語研究でも有名です。
「アイヌ語地名考」(「アイヌ語地名資料集成」に収録)を残しています。



ポンアヨロ海岸・「カムイエカシ チャシ」(神翁の・砦)。現在、灯台が在ります。

(<アイヌ伝説>:創世神[オキクルミ]が、海岸で鯨の肉を蓬の木[イ・マ・ニッ]に刺して焼いていたところ、
    焚き火がパチンとはね、神様が驚いて尻餅をついた跡がオソル・コチ:osor-kochi[尻・跡]として残り、
    焼き串の破片が飛んで岩[イマニッ: i-ma-nit:それを・焼く・串の意]になった。)

この、両方(イマニツ、オソルコチ)が残っている所です。

PS.「地名アイヌ語小辞典」より。(オソル・コッ:osor-kot) 尻の・凹み:尻餅をついたあとの窪みの意。
"kochi"は "kot" の第3人称形。   それ故、表記に"オソルコチ"、"オソルコッ"が現れるのでせう。
又、オソルコチの前面には必ずイマニツが見出される。としている点に着目させられます。
ただ、逆は必ずしも真(イマニツが在れば、必ずオソルコチが在る)ではないようです。



灯台から見る、オソルコチ。奇妙な凹地です。



ホテル(いずみ)の遊歩道からみる、「オソルコチ」(綺麗なお椀型)と「イマニッ」(円で括った、沖の岩礁)。

PS. 「地名アイヌ語小辞典」:"osor-kot(kochi)" の項目に掲載された写真には、「オソルコチ」内に、
漁業集落が写っています。(左端の斜面形状と"イマニツ"から、「オソルコチ」内にまず間違いないと思います)、
いつ頃[1950年代頃?]の写真でせう。(集落跡を確認することにも、興味をそそられますね。)

PS2. 「ホテルいずみ」提供の「虎杖浜お出かけマップ」を発見しました。
   「遊歩道」の綺麗なイラストと共に、”イマニツ”、”オソルコチ”等を解説しています。
   一見の価値ある物です。是非ご覧ください。(2013/07/28 追加)



灯台から見る、ポンアヨロ海岸・沖の岩礁です。

数年前、ポンアヨロ海岸を訪れています。その時、灯台から見る奇妙な凹地には気付いていました。
その後、アイヌ語地名に嵌り、虎杖浜に「オソルコチ」と「イマニッ」が在ると知り、
即座にあの凹地が「オソルコチ」と気付きましたが、「イマニッ」が思い浮かびません。
地形図を見、ポンアヨロ海岸沖の、三つ岩礁のどれかが「イマニッ」と思っていました。(この画像です)
ところが、帰って調べてみると、山田「アイヌ語地名研究 3」p,246 & p268 から、
上記円内の岩礁と判明した次第です。(確かに、オソルコチ前面の岩礁ですね。)



虎杖浜のアヨロ温泉。新築され今風になりましたが、洗い場専用の温泉の長桶?は健在でした。
(このアイデア、カランの少ない古い温泉は是非参考にして欲しいです!他人が入浴した湯船のお湯で、
頭や顔を洗うのは、現代人には無理でせうから。)

かって、放っていたオーラーは弱まった感じですが、やはり虎杖浜一の温泉でせう!
朝一、6時から地元の方達が押しかける温泉ですから。(なお、宿泊は無くなりました。)

虎杖浜、かって「クッタルシ」でした:(クッタル・ウシ・イ: kuttar-ush-i)「いたどり・群生する・処」の意です。
この「いたどり」ですが、漢字だと”虎杖”と書きます。そこから虎杖浜になりました。
(音ではなく、意味が採用された地名の例です。なお、”虎杖浜”命名の経緯も在るのですが、又の機会に...。)

近くの、「倶多楽湖:くったらこ」も、(クッタルシ・トー: kuttar-ush-to) 「虎杖浜の・湖」の意です。


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