今日のおおしお市民農園




2014年07月16日(水): 十勝川河口・南西部に多くの海跡湖が在ります。
しかもアイヌ語地名の宝庫なのです。今回はこの海跡湖の紹介です。

海跡湖は砂州等によって海と隔てられた湖沼です。淡水と海水が混じった汽水湖が殆んどです。
ここの砂州の砂の供給源は十勝川でしょう。南下する親潮に流され南西に伸びて行きます。
湖ではシジミやワカサギの漁が行われますが、夏の一時期以外は寂しく、観光客が訪れるのは稀です。

(PS. 「海跡湖」は、「潟湖」・「ラグーン」と同義語です。)

(1) 長節湖:(チ・オ・プシ・イ:chi-o-push-i)「自ら・そこ(川尻)を・破る・もの(沼)」
   「破れる沼」の意で、沼尻が砂で塞がれているが、沼の水位が上がり、自然に破れて流れ出る沼のこと。

(2) 湧洞沼:(ユー・トー:yu-to)「温泉・沼」の意。
   時々、ぬるい水が出たのかもしれない。

(3) 生花苗湖:(オイカ・オマ・イ:oika-oma-i)「(海波が)越え・入る・もの(沼)」の意。
   時化の時は浪が砂州を越えて入り込み、水位が上がり水圧で砂州が破れたか?。

(4) ホロカヤントー:(ホロカ・ヤン・トー:horoka-yan-to)「後戻りして・揚る・沼」
   砂州が切れた時、海水が入ってきて奥まで波が及ぶとか。その意か?

(PS. 解説は、山田秀三「北海道の地名(アイヌ語地名の研究:別冊)」より抜粋。)

(PS2. 砂州が決壊することがどんなことか、長節湖&生花苗湖の航空写真
  "砂州の決壊により湖水流出"を見るまで理解できていませんでした。驚異ですね。)

(PS3. 中尾欣四郎「海岸湖沼の海への開口頻度の水収支評価と沼環境の変遷」『地質学論集』
  NO.36(1990)、pp.89-102 では、”生花苗沼は年に数回、ホロカヤントー沼は4-5年に1度、
  砂州状の海岸が切れて海に開口するとされる。”孫引きで、論文未見

  参考文献:磯部一洋等「北海道東部太平洋沿岸に連なる海跡湖を訪ねて」『地質ニュース』
  No.534(1999/02)、 pp.7-18;  9/04 追加)




<(1) 長節湖 :ちょうぶしこ>


 長節湖の砂州を左に望む



 長節湖の沼尻方面を望む



 沼尻近くから、長節湖



 長節湖の砂州:左:湖、右:太平洋



 長節湖の原生花園



 1977年9月22日の長節湖(国土地理院、航空写真)
 この航空写真では確認出来ませんが、沼尻は砂州で塞がれています。(同日の他の写真より。)
 ただ、水位が下がっているのが判ります。



 1948年7月23日の長節湖(国土地理院(米軍)、航空写真)
 沼尻の砂州が決壊:湖の水が流出しています。



<(2) 湧洞沼 :ゆうとうぬま>


 正面に湧洞沼の砂州が見えます。



 湧洞沼の沼尻



  湧洞沼の沼尻左に、人工的な砂丘が確認出来ます。
 次の、漁業家屋や長節湖&生花苗湖の航空写真(砂州の決壊により湖水流出)から推測して、
 この砂丘は、生業維持の為、砂州の決壊を防ぐ為の物と思っています。
 よしんば、決壊までに至らなくても、塩分濃度の増加も相当の痛手でせう。
 (PS. 湧洞沼再訪にて、上記の訂正です。2016/06_19)


 湧洞沼の沼尻近くの漁業家屋、シジミ、ワカサギ漁を営んでいるのでしょう。



 沼尻近くからの湧洞沼、水をなめてみましたが少しショッパイです。



 東岸の高台から湧洞沼



 東岸の高台から湧洞沼の砂州方面を望む。(砂洲の最高標高は7m)



 1977年9月23日の湧洞沼(国土地理院、航空写真)



<(3) 生花苗湖 :おいかまないこ>


 湖岸から、生花苗湖の砂州を望む。



 湖岸から、生花苗湖の奥を望む。



 沼尻から、南西に砂州が延び、「こいとい」状態です。(コイ・トイェ: koi-tuye)
 「波が・破る」の意、"川の下流が海岸砂丘の後を横流れしている処で、海波が荒い時に、
  その砂丘を破って川に打ち込むことから呼ばれた地名です。



 「こいとい」の弱点部分です。下記航空写真では、この部分が決壊したのでせう。



 1977年9月23日の生花苗湖(国土地理院、航空写真)
 矢印部分の砂州が決壊:湖の水が流出しています。
 上記、湧洞沼の漁業者にとっては、この現象は死活問題でせう。
 前日撮影の、長節湖の水位も下がっています。この年に何か災害でも?



<(4) ホロカヤントー>


 ホロカヤントーの沼尻



 ホロカヤントーの奥方面



 ホロカヤントー復元竪穴住居



 ホロカヤントー竪穴群と沼



 1977年9月22日のホロカヤントー(国土地理院、航空写真)



(PS. 磯部一洋等「北海道東部太平洋沿岸に連なる海跡湖を訪ねて」『地質ニュース』No.534(1999/02)
  pp.7-18 では、p.16 の第15図(ホロカヤントー)において、”遡上波痕(swash mark)から
  海水が暴浪時に沼へ流れ込んだ様子がうかがえる。”としている。pdf図では不鮮明ですが...。
  ホロカ・ヤン・トー:horoka-yan-to「後戻りして・揚る・沼」ですね。 9/04 追加)


  

保存庫

HOME